妥協しないお茶づくり
ひと口にお茶といいましても、産地は勿論、品種やその店ごとの製造方法などによって、様々な風味をもっているのがお茶です。
当店では自社の茶園や、町内の茶生産家の皆様より摘み取ったばかりの生の葉の状態でお茶を仕入れ加工しています。
同じ茶園から摘み取られるお茶の葉でも、その年ごとに作柄は変わってきます。その違いをいち早く見極め、最良な風味を引き出す事を心がけて製造しています。
茶園管理の達人と共に
茶摘みでは、時期が早すぎると香味のバランスが悪く、収穫量も少ないためよくありません。逆に時期が遅れると、茶葉1枚1枚が大柄で硬くなり、旨味等の成分が少なくなります。
柔らかな春の陽射しをゆっくりと浴びながら育つ茶葉は、世知原の大地からじっくりと養分を吸い上げ、一枚ずつしなやかに新芽を開いていきます。
茶園の管理がいきとどいていると、元気な茶葉、即ちみずみずしく葉肉の厚い新芽が育ちます。年間を通しての草取りや施肥。茶樹の整枝など茶園管理の達人の地道な努力があればこそ、季節の美味しさをお届けできるのです。
私たちは茶生産家の皆様と共に、茶園に足を運び天候と相談しながら一番の茶摘みの時期を見逃すことがないよう、新芽の様子を見守っています。
芯まで蒸しきる「こばやし流」深蒸し
荒茶の製造段階で一番はじめに行うのが「蒸し」。この蒸し具合が、お茶を注いだ時の色や、風味に影響してきます。
一般的に浅蒸しのお茶は、茶葉の形がシッカリしていて、注いだ時の色は黄緑がかった透き通った色をしていて香味に特徴があります。
逆に深蒸しのお茶は、茶葉の形が粉っぽく、注いだ時の色が濃い緑色をしていて、渋みが抑えられ濃厚な味が特徴です。浅蒸しと深蒸しの区別は茶葉を蒸す時間でよく区別されます。
当店は世知原の地で最初に蒸し製法を手掛けた蒸し製世知原茶の元祖です。当店の浅蒸しと深蒸しの考え方は少々独特なものがありまして
「茶葉の形を残しながら、茶葉の芯まで蒸し(蒸気)を通す・・・」
茶葉の形を残しながら濃い風味を引き出し、スッキリとしたあと味のお茶。これこそが「こばやし流」の深蒸しであり「こばやしのお茶」の原点となっています。
茶葉を磨き輝かせる
仕上げ(2次加工)工程では、風味を引き出すための火入れ乾燥と様々な選別工程があります。
当店では1次加工で出来上がった荒茶(半生状態の茶葉)を茶畑ごとに分類管理し個別に仕上げ作業を行います。
火入れ乾燥では、香りに特徴のある茶葉は香りを引き出す火入れ。味に特徴のある茶葉は味を引き出す火入れ。1~2度の微妙な火入れ温度の違いで、茶葉に秘められた風味が表にでてきます。
選別の工程では茶葉の大きさ、重さ、色により茶葉の部位ごとに分けていきます。その中でも色による茶葉の選別には経験からくる「こだわり」があります。
茎の部分を選別するのは当然ですが、緑色に見える茶葉の中にも白っぽい緑や黒っぽい緑など、一枚ずつの茶葉としては品質の劣る部分が混在しています。それらの茶葉を取り除くことで良質な茶葉のもつ風味がいっそう引き立ってくるのです。
茶葉を各種の選別機械にひと通り流すことで、ある程度の品質にはなります。
そこからは茶師の眼と手間暇により、茶葉に磨きをかける選別で鮮やかな緑の輝きと雑味のないクリアーなお茶の風味を追い求めていくのです。